【思考力を鍛える#5】思考に必要な知識
思考力を鍛えるために必要な4つの能力のうちの1つである「知識」についてです。
知識は、詰め込み教育で批判されたため、もしかしたら否定的なイメージもあるかもしれません。たしかに、知識の詰め込みといった表現にされると知識なんて不要だと感じます。
けれども、思考するにあたって、「知識」はとても重要なものになります。なぜなら、知識とは次のようなものだからです。
- 知識は答えを構築するときに必要なパーツです。パーツが不足すると答えを築き上げていくことはできません。
- 知識は答えを構築するときに必要な道具です。道具がないとパーツを組むことができません。
- 知識は答えを構築するときに必要な取扱説明書です。取扱説明書がないとどうしたらいいのかわかりません。
知識の話をするためには思考とはどういうものなのかを知らなくてはなりません。まずはそのお話からしたいと思います。
思考とはどういうことをしているの
私たちが思考するために、始めにしなければいけないことは前回の話で出てきた「情報の把握」です。まずは思考する対象をきちんと把握しなければ、思考を始めることはできません。
そしてその把握が終わると、ようやく「思考」が頭の中で始まります。もちろん、実際には頭の中だけではなく、紙の上やパソコンの画面上で思考を進めることにもなりますが、思考自体は頭の中で行っていきます。
頭の中の思考は、可視化することができません。さらに思考は、複雑な作業を有機的に行っているので捉えることが難しく、それゆえにイメージがしにくいものです。そこで、思考というプロセスの中で行われていることを切り分けて、仕組みを分かりやすくするためにモデル化を試みてみます。
① 知識のデータベースから取り出す
まず、頭の中にある知識のデータベースから、考える対象(以下「問題」とします)に関連する知識を、思考エリアに取り出します。
② 知識を用いて結論を導き出す
次にその知識を用いて、あれこれ思考します。思考する過程で、他に必要な知識があれば、知識のデータベースからその都度取り出してきます。そして、思考から一つの結論を導き出します。
③ 結論の妥当性を確認し、答えとする
思考によって導き出した結論が妥当なものであるのかどうかを、データベースの中にある知識と照合して確認します。既存の知識と矛盾していなければ、それを問題の答えとします。
④ 答えは知識の一部に
求めた答えは、そのまま知識のデータベースに取り込まれ、一つの知識として追加されます。
仕組みを単純化すると、およそこのような感じです。
知識とは
思考のプロセスがわかると、思考する上で知識はなくてはならないものだと理解できます。
思考は決してゼロ(無)から築き上げられるものではありません。思考して答えを築き上げていくためには知識というピースが必要であり、そのピースを繋いでいくのに知識という道具が必要であり、ひとつの大きなものを組み上げるためには知識という取扱説明書も必要になります。
知識が不足すれば、ピースが足りなかったり、道具がなかったり、手順が分からなかったりで、思考は上手くできません。
このように考えると、知識は思考する上で必要不可欠なものであるということがわかります。
まとめ
知識は思考と相反するものと考えられることもあり、「思考」が重要視されると「知識」は蔑ろにされがちです。実際に、ゆとり教育は知識を批判し、知識の量をかなり減らしました。
けれども、真実として、知識は思考に欠かせないものです。そして、どちらかというと思考よりも知識が優先されなければいけないかもしれません。
思考をしようと思うと、どうしても知識が必要になります。知識なくして思考はできないので、思考の練習をしたいならば、まずはある程度の知識を確保しないといけないでしょう。
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