【思考力を鍛える#4】情報を把握する力(数学編)

query_builder 2022/04/04
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前回、算数に焦点を当てて「情報を把握する力」を具体的に考えました。今回は「数学」に焦点を当ててみます。

確かに、算数のように問題文が具体的に、物語のように書かれているなら、前回の話でこのテーマについては終えることができるのですが、高校数学のように抽象的で難解な内容を含む問題文になってくると、話はややこしくなってきます。

ややこしくなる原因は「把握」という言葉の意味する度合いが人によって異なるためです。

「把握」には深度がある

「問題文の意味を把握する」といっても、どの程度の把握で「自分は問題文を把握している」と捉えるのかは人によって異なります。ある程度書かれていることが分かれば「把握した」という人もいれば、少しでも理解できなければ「まだ把握していない」という人もいるわけです。

この違いは、「把握」にはレベル(深度)があると考えるとイメージがしやすいと思います。表面上を把握しているという深度の浅い「把握」もあれば、出題者の意図までも理解するという深度の深い「把握」もあります。

ここでは「把握」のレベルを3つに分けてみます。

深度①「語彙レベルでの把握」

深度の一番浅い、表面上のものは、語彙レベルの「把握」です。

例えば、「変化の割合を求めよ」と言われても「変化の割合」が何なのかが分からないと問題文の意味は分かりません。逆に言うと、問題文に書かれていることが語彙レベルで分かれば、「書かれている意味は分かります」と答えることができます。

端的に言えば、字面として書いていることは把握できたというレベルです。

深度②「意味レベルでの把握」

次の深度②は、書かれていることの意味を理解するという「意味レベルでの把握」です。これは少し分かりにくいので、「放物線の交点」という表現を例に考えてみます。

「放物線」と「交点」という語彙は理解できます。つまり深度①の「語彙レベルでの把握」はできるわけです。

ところが、「放物線の交点」という言葉は「どういう意味?」ってなります。これは、言っていることが意味レベルでは把握できないということなのです。(「放物線と直線の交点」と表現しないと意味を成しません)

つまり、「放物線の交点」という表現は、意味レベルで把握できないということなのです。

問題文を構成している言葉一つ一つを把握しているかどうかが「語彙レベルでの把握」で、問題文全体の意味合いを把握しているかどうかが「意味レベルでの把握」というわけです。

深度③「意図レベルでの把握」


最後が、深度③の「意図レベルでの把握」です。これは字のごとく、問題文に直接は書かれていない筆者の意図が把握できているかどうかというものです。

相手が何を聞きたいのかを理解しないと正しく返答することはできません。これは日常生活だけでなく、勉強の世界でも同じです。問題文に書かれていることを意味レベルで把握したあと、出題者は何を問うているのかを紐解くことは、問題が難しくなればなるほど必要不可欠になります

例えば、2022年度の東京大学の入試問題を見てみましょう。

「語彙レベルでの把握」「意味レベルでの把握」をした後、問題文に書かれていることをグラフに落とし込んで、出題者の意図していること、出題者が問うていることを把握しようと努めなければなりません

実際に「解答」にグラフを添えるかどうかはともかく、考える過程でグラフがないのは致命的です。この問題を解くためには次のようなグラフは最低でも必要です。

語彙レベル、意味レベルで問題文を読み解いた上で、出題者の意図を理解しようと絵やグラフをかいて、「あぁ、こういう話ね」と把握できるとことまでが「情報の把握」になります。そして、これをできる能力が「情報を把握する力」というわけなのです。

まとめ

「情報を把握する力」が不足していると、出題者の意図を把握することができず、「何を考えればいいのか分からない」「何を答えたらいいのかわからない」という状況に陥ります。

これではどれだけ「考える力」を持っていようとも力を発揮することはできません。

そう考えると、「情報を把握する力」は思考するためには切っても切れない力であり、広い意味で「思考力」の一部であると言えるわけです。

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